今回は、人気料理家・ワタナベマキさんのレシピによる「梅干しの作り方」をご紹介します。日本の伝統的な保存食である梅干しですが、ご自宅で手作りすることで、市販品にはない格別な風味と愛着を味わうことができます。
本レシピは、完熟梅1キログラムに対して粗塩140グラム(14%)を用いた、昔ながらの本格的な塩分濃度で漬け込む基本の梅干しです。
焼酎を用いて丁寧に拭き上げることでカビを防ぐ工夫や、まな板の上で梅をコロコロと転がすことで繊維を壊して梅酢を上がりやすくするといった、美味しく失敗しないための丁寧な下ごしらえの工程がしっかりと組み込まれています。
赤じそを使った鮮やかな発色を引き出す手順も詳しく解説されており、白梅干しで仕上げたい場合の応用も可能です。そして何よりも土用干しによって太陽の光と風をたっぷりと浴びせ、夜露に当てることで、ふっくらとした極上の梅干しに仕上がります。
毎年梅の季節が待ち遠しくなる、ワタナベマキさんの基本にして至高のレシピを、ぜひご家庭でお試しください。
【ワタナベマキさんのレシピ】梅干しの作り方
Course: 保存食Cuisine: 和食30
servings1
hour20
minutes15
kcal80
minutes今回は、人気料理家・ワタナベマキさんのレシピによる「梅干しの作り方」をご紹介します。日本の伝統的な保存食である梅干しですが、ご自宅で手作りすることで、市販品にはない格別な風味と愛着を味わうことができます。
材料
【塩漬け】
完熟梅 1kg
粗塩 140g(梅の重量の14%。)
焼酎(35度以上) 適量
【赤じそ漬け】白梅干しにする場合は省略。
赤じそ 正味300g
粗塩 60g(赤じその重量の20%。)
梅酢 カップ1/2
作り方
- 梅は水でサッと洗い、竹串でなり口のヘタを除く。かぶるくらいの水に6時間つけてアク抜きをする。布巾や紙タオルで水けを拭き、ざるに広げて乾かす。
- 焼酎をしみ込ませた布巾で梅を1コずつ拭く。同じく焼酎をしみ込ませた布巾で拭いたまな板にのせ、手で軽く押しながらコロコロと転がす。
- ポイント
- 転がすことで繊維が壊れ、梅酢が上がりやすくなる。
- 容器に塩の1/3量を入れ、梅と残りの塩を2回ずつに分けて交互に入れる。
- 表面を2枚重ねにしたラップで覆い、1kg(梅と同じ重量)のおもしをのせる。ふたをして直射日光の当たらない常温の場所に置き、1日1回容器を傾けてグルリと回し、梅酢を全体に行き渡らせる。
- いちばん上の梅まで梅酢が上がったらおもしをはずす。
- ポイント
- 白梅干しにする場合は、次の赤じそ漬けの工程をとばして土用干しへ。 梅酢が上がらない時は、おもしを1.5倍(1.5kg)に増やし、容器をグルリと回す作業を毎日続ける。
- 赤じそは葉を摘み、たっぷりの水でよく洗ってざるに上げる。布巾や紙タオルで水けを拭き、ざるに広げて乾かす。
- 赤じそをボウルに入れ、塩の半量を加えてよくもむ。アクが出てきたら絞り、絞り汁は捨てる。残りの塩を加えてさらにもみ、絞って別のボウルに赤じそを取り出す。
- 梅酢を加えて全体になじませ、鮮やかに発色させる。
- ポイント
- 容器の梅酢は余分に取り分け、白梅酢として使ってもよい。
- 塩漬けした梅に梅酢ごと加える。ふたをして直射日光の当たらない常温の場所に、土用干しまでおく。
- 梅をざるに間隔をあけて並べる。赤じそも好みで汁けをきってざるに取り出し、 赤じそふりかけ に。
- 風通しをよくするためにざるの下にバットなどを敷いて屋外に干す。朝7~9時に干しはじめ、午後3時ごろ取り込んで梅酢に戻す。2日目も同様にする。
- ポイント
- 風に当てることが重要なので、ベランダでもOK。台やいすの上に置いて高さを出すとよい。 梅が雨でぬれてしまった場合は、水けを紙タオルできれいに拭き取り、焼酎にくぐらせてから梅酢に戻す。
- 1日目と同様に梅を干し、梅酢も容器ごと外に出して日光に当てる。そのまま一晩おいて夜露に当てる。
- 翌朝取り込み、梅は梅酢にサッとくぐらせてから保存容器に入れる。梅酢は消毒した保存瓶に入れて常温で保存する。
- ポイント
- 土用干しの途中で雨の予報の時は、3日間連続で干さなくてもOK。梅酢に漬けた状態で保存し、晴れた日に合計3日間干す。
メモ
- ワタナベマキさんのレシピ (梅干し)
梅干しを美味しく作る3つの極意
梅をまな板の上で転がし、梅酢を上がりやすくする
このレシピの最初の重要なポイントは、アク抜きをして水気を拭き取った完熟梅を、焼酎を染み込ませた布巾で拭いたまな板の上で、手で軽く押しながらコロコロと転がすという工程です。一見すると手間に思えるかもしれませんが、こうして適度な圧力をかけて転がすことによって、梅の果肉の繊維が優しく壊れます。
繊維が壊れることで、塩と触れ合った際に梅の内部から水分(梅酢)がスムーズに浸出するようになり、カビの原因となる梅酢の上がりの遅さを防ぐことができます。美味しく安全な梅干しを作るための、非常に理にかなった一手間です。
赤じそは2回に分けて塩揉みし、梅酢で鮮やかに発色させる
赤じそを加える工程において、塩の全量を一度に入れるのではなく、半量ずつ2回に分けてしっかりと揉み込むことが極意です。最初の塩揉みで出てきた黒っぽいアク(絞り汁)はためらわずにしっかりと絞って捨てることで、梅干しにえぐみが移るのを防ぎます。
残りの塩を加えてさらに揉み込み、しっかり水分を絞り出した後に、白梅酢(塩漬けで上がった梅酢)を加えます。この酸性の梅酢と反応することで、赤じそがハッと目を引くような鮮やかで美しい赤色に発色します。この色鮮やかな赤じそと梅酢を漬け込むことで、目にも美味しい真っ赤な梅干しが完成します。
風に当てて干し、3日目は夜露に当ててふっくらと仕上げる
最後の仕上げである「土用干し」は、梅干しの風味と食感を決定づける最も大切な工程です。ざるの下にバットなどを敷き、風通しを良くして外干しをします。マンションのベランダなどでも、台を用いて高さを出すことでしっかりと風に当てることができます。
そして3日目は、日中だけでなくそのまま一晩置いて「夜露」に当てることが最大のポイントです。日中の強い日差しで水分が抜け、皮が薄く柔らかくなった梅が、夜の冷気と湿気を含む夜露に当たることで、しっとりとふっくらした極上の食感へと変化します。翌朝、最後に梅酢にサッとくぐらせることで保存性も高まります。
最高のペアリング:料理を引き立てる飲み物
手作りの梅干しは、炊きたての白いご飯やおにぎり、お茶漬けのお供として最高の相性を誇りますが、実はさまざまなお酒とのペアリングも楽しむことができます。特におすすめなのが、日本の甲州ブドウを使った白ワインや、すっきりとした辛口の日本酒です。
例えば、グレイスワインの甲州のような、柑橘系の爽やかな酸味と繊細なミネラル感を持つ白ワインは、梅干しのキュッとした酸味と旨味に絶妙に寄り添い、食中酒としてお互いの味を引き立てます。
また、梅干しを少し崩して冷やっこに乗せたり、オリーブオイルと合わせてカルパッチョのソースに仕立てたりすれば、シャンパンやカヴァなどのスパークリングワインとも驚くほどよく合います。和洋を問わず、梅干しの持つフルーティーな酸味をアクセントとして活用してみてください。
保存テクニックと温め直し方
完成した梅干しは、清潔でしっかりと熱湯消毒またはアルコール消毒をした密閉できる保存容器(ガラス瓶やホーロー容器がおすすめ)に入れて保存します。土用干しの翌朝、梅酢にサッとくぐらせてから容器に収めることで、表面がコーティングされてしっとり感を保ち、保存性も向上します。
直射日光の当たらない冷暗所で常温保存が可能ですが、より長期間美味しさを保ちたい場合や夏場は冷蔵庫での保存も安心です。梅酢も消毒した瓶に入れて常温で保存し、料理などに活用できます。
このレシピのまとめと栄養のポイント
ワタナベマキさんによる、昔ながらの丁寧な工程で作る本格的な梅干しのレシピをご紹介しました。
完熟梅を焼酎で拭き、まな板で転がして繊維をほぐすことで梅酢を確実に上げる工夫や、赤じそを二度揉みしてアクを徹底的に抜き、梅酢で鮮やかに発色させる技術など、失敗なく美味しく仕上げるための知恵が随所に散りばめられています。
そして、太陽と風の恵みをたっぷりと受け、夜露に当ててふっくらと仕上げる土用干しの工程は、手作りならではの醍醐味です。手間ひまをかけて仕込んだ梅干しは、日々の食卓を豊かに彩るかけがえのない宝物になります。
今年の梅仕事として、ぜひこの丁寧なレシピで自家製梅干し作りに挑戦し、その格別な味わいをご堪能ください。
