日本料理の達人である田村隆さんのオリジナルレシピ、「牛すじの煮込み」をご紹介します。このレシピは、牛すじ肉1.5kgと大根2本というたっぷりの分量を使用し、素材が本来持っている深い旨みを余すところなく引き出す本格的な一品です。
ご家庭で作る際にも専門店のような極上の味わいを再現できるよう、細部にまでこだわった丁寧な下処理と煮込みの工程が組み込まれています。例えば、牛すじ肉は部位によって堅さが異なるため、下ゆでした後に触って堅い部分と柔らかい部分を分け、時間差で煮込んでいくという非常にきめ細やかな手法をとります。
また、大きく切った大根は牛すじ肉の下に敷き詰めることで、上から滴り落ちる濃厚な旨みをたっぷりと吸い込ませます。さらに、一度煮込んだ後に火を止めて冷まし、再び火にかけるという作業を複数回繰り返すことで、大根の芯までしっかりと味が染み込みます。
ご家庭でじっくりと時間をかけて料理と向き合いたい休日や、特別なおもてなしの席にもぴったりの、田村隆さん直伝の素晴らしいレシピです。この丁寧な手仕事が生み出す至福の味わいを、ぜひご自宅で体験してみてください。
【田村隆さんのレシピ】牛すじの煮込みの作り方
Course: 主菜Cuisine: 和食8
servings30
minutes4
hours420
kcal270
minutes日本料理の達人である田村隆さんのオリジナルレシピ、「牛すじの煮込み」をご紹介します。このレシピは、牛すじ肉1.5kgと大根2本というたっぷりの分量を使用し、素材が本来持っている深い旨みを余すところなく引き出す本格的な一品です。
材料
牛すじ肉 1.5kg
大根 2本
にんにく 50g
青ねぎ 3本
昆布 30g
練りがらし 適量
酒 カップ2
砂糖 カップ1/2
しょうゆ
水 3リットル
作り方
- 牛すじ肉は、パッと見てよくわかる血や汚れがあれば、よく水で洗ってきれいにする。
- 大きめの鍋にたっぷりの湯を沸かし、牛すじ肉を入れ、アクを取りながら15分間ゆでる。
- ポイント
- 沸騰した湯からゆでることで、牛すじ肉のうまみを逃がさず、全体の筋を縮ませる。
- 牛すじ肉は鍋ごと水にさらし、流水で洗う。粗熱が取れたら、食べやすい大きさに切る。触ってみて、堅い部分と柔らかい部分に分けておく。
- ポイント
- 食べやすくするために筋に対して垂直に切る。 しっかりと煮込んで柔らかくする必要があるので分けておく。
- 牛すじ肉は、堅い部分を鍋にたっぷりの水とともに入れて火にかけ、落としぶたをし、1時間ぐらいゆでる。残りの牛すじ肉を加えて柔らかくなるまでゆでる(目安として全体で2~3時間)。牛すじ肉とゆで汁を分けておく。
- ポイント
- 煮込む際は、アルミ箔(はく)などで落としぶたをすること。熱を効率的に全体に伝えることができ、早く煮える。
- にんにくはガーゼで包み、包丁の腹でつぶす。大根は厚めに皮をむいて、食べやすい大きさに回し切りにする。青ねぎは3cm長さに切る。
- ポイント
- 大根の皮は厚めに堅い繊維ごとむいておくと、煮上がったとき均等に柔らかく仕上がる。
- 鍋に大根、牛すじ肉の順番で入れる。ゆで汁に水を加えて3リットルにして加える。さらににんにく、昆布、酒を加えて強火にかけ、沸騰してアクを取ったら中火にし、落としぶたをする。
- ポイント
- 大根は牛すじ肉のうまみがよくしみ込むように下に入れ、しっかり火を通す。
- 大根が柔らかくなってきたら、砂糖、しょうゆカップ1を加える。
- 沸騰したら火を止め、少し冷まして、再び火にかける、という作業を3~4回繰り返す。
- ポイント
- 温めることで牛すじ肉のうまみが引き出されて、冷ますことで大根の中にしみ込む。繰り返すことで、うまみは深まり、全体に行き渡ってゆく。
- 仕上げにしょうゆカップ1/4を加え、青ねぎを散らして火を止める。器に盛り、練りがらしを添える。
- ポイント
- 一度に入れると色も濃くなり、香りもとんでしまうので、仕上げのしょうゆは分けておいて、あとから加える。
メモ
- 田村隆さんのレシピ (牛すじの煮込み)
牛すじの煮込みを美味しく作る3つの極意
沸騰した湯からゆで、筋に対して垂直に切る
牛すじ肉の下処理において、水からではなく「沸騰したたっぷりの湯」からゆで始めるのがこのレシピの極めて重要なポイントです。熱湯に一気に肉を入れることで、表面が瞬時に固まり、大切なうまみを外に逃がさず内部に閉じ込めることができます。さらに全体の筋がキュッと縮むため、切り分け作業がしやすくなります。
15分ほどゆでて粗熱を取った後は、筋の繊維に対して垂直に包丁を入れるようにして切ります。こうして繊維を断ち切ることで、長時間の煮込みを経て驚くほど口どけの良い、とろけるような柔らかさに仕上がります。
また、この時に堅い部分と柔らかい部分を触って分けておき、煮込み時間を調整することも、全体を均一な柔らかさに仕上げるための絶対に見逃せない秘訣です。
大根は厚めに皮をむき、鍋の底側に敷き詰める
大根の甘みと柔らかさを最大限に引き出し、味を染み込ませるための工夫が光ります。まず、大根の皮は薄くむくのではなく、「厚めに堅い繊維ごとむく」のがコツです。皮の近くにある堅い筋をしっかりと取り除くことで、煮上がった時に均等でとろけるような柔らかさに仕上がります。
さらに、鍋に具材を入れる順番も極めて重要です。必ず大根を先に入れて鍋の底側にし、その上に牛すじ肉をのせるように配置します。
こうすることで、上にある牛すじ肉から溶け出した濃厚なエキスとうまみが、重力に従って下にある大根へと絶え間なく降り注ぎ、大根が極上のスープをスポンジのようにたっぷりと吸い込んで極上の味わいに変わります。
温めと冷ましを繰り返し、仕上げのしょうゆは分ける
煮込み料理の基本であり最大の魔法とも言えるのが「温度変化」の活用です。大根が柔らかくなった後に砂糖としょうゆを加えたら、ずっと火にかけ続けるのではなく、「沸騰したら火を止め、少し冷ましてから再び火にかける」という作業を3~4回根気よく繰り返します。
温める時に牛すじ肉からうまみが引き出され、冷めていく過程でそのうまみが大根の奥深くまで浸透していきます。この反復によって味わいが劇的に深まります。また、しょうゆは一度に全量を入れず、最後の仕上げ用に「カップ1/4」を残しておくのも大きなポイントです。
最後に香りを補うことで、風味が飛ばず、色も濃くなりすぎない、美しく香り高い最高の状態に仕上がります。
最高のペアリング:料理を引き立てる飲み物
この濃厚でうまみたっぷりの「牛すじの煮込み」には、しっかりとした果実味と程よいタンニンを持つ赤ワインが非常によく合います。例えば、フランスのローヌ地方で作られるシラーや、オーストラリアのシラーズなどは、スパイシーなニュアンスがあり、牛すじ肉の野性味やコク深いしょうゆの風味と見事に調和します。
また、日本の食卓に合わせるなら、マスカット・ベーリーAなどの国産赤ワインもおすすめです。しょうゆと砂糖を使った和風の甘辛い味付けには、日本のブドウから作られた軽やかな赤ワインが心地よく寄り添い、繊細な昆布の出汁の香りも邪魔しません。
ワイン以外であれば、キリッと冷やした純米大吟醸や、しっかりとしたボディを持つ純米酒をぬる燗で合わせるのも至福の組み合わせです。お好みの銘柄のビールを合わせても、青ねぎと練りがらしのアクセントが効いて、グラスが止まらなくなること間違いありません。
保存テクニックと温め直し方
牛すじの煮込みは、作ってから一度しっかり冷ますことでさらに味が染み込むため、作り置きにも最適なメニューです。保存する場合は、粗熱が完全に取れてから清潔な保存容器に移し、冷蔵庫で保存してください。冷蔵で約3〜4日ほど美味しくお召し上がりいただけます。
冷えると表面に白い脂が固まることがありますが、これは牛の旨味成分ですので、温め直すことで再び溶けて極上のスープに戻ります。長期保存したい場合は、1食分ずつ小分けにして冷凍保存用バッグに入れ、空気をしっかり抜いて冷凍庫へ。冷凍で約1ヶ月保存可能です。
このレシピのまとめと栄養のポイント
田村隆さんの「牛すじの煮込み」は、手間暇をかけて素材の持ち味を極限まで引き出した、日本料理の奥深さを感じられる素晴らしいレシピです。
沸騰したお湯からゆでて旨みを閉じ込める下処理、部位の堅さを見極めた時間差の煮込み、大根を下に敷いて牛すじのエキスを吸わせる配置、そして「温めと冷まし」を繰り返すことで味を芯まで染み込ませる工程など、どのステップにも美味しく仕上げるための明確な理由があります。
大量に作ってこそ発揮されるダイナミックな美味しさがあり、一度作っておけば、日々の食卓が豊かなものになり、晩酌のお供からご飯のおかずまで幅広く大活躍してくれます。特別な日のご馳走としても、家族が喜ぶ定番料理としても、一生モノのレシピになることでしょう。
ぜひこの週末に、時間を贅沢に使ってじっくりとお鍋と向き合ってみてはいかがでしょうか。
