日本料理の第一人者である田村隆さんの「さばのみそ煮」のレシピをご紹介します。さばのみそ煮は、家庭料理の定番でありながら、魚の生臭さが残ってしまったり、身がパサパサになってしまったり、皮が破れて見た目が損なわれたりと、意外と難易度が高いと感じている方も多いのではないでしょうか。
今回は、そんな悩みを解決する、田村隆さん直伝のプロの技が詰まった極上のさばのみそ煮の作り方をお届けします。このレシピの特徴は、霜降りという下処理を丁寧に行うこと、そして調味料を加えるタイミングにあります。
昆布の水だしを使うことで深みのある旨味を引き出し、段階的に味を含ませていく手法は、まさに日本料理の基本とも言える繊細な仕事です。ご飯が進むこと間違いなしの、ふっくらとして味がしっかりと染み込んだ絶品のさばのみそ煮。特別な道具や手に入りにくい食材は一切必要ありません。
スーパーで買える普通のさばの切り身が、丁寧な工程を経ることで、まるで高級和食店で提供されるような一品へと生まれ変わります。美味しい煮魚を作るためのエッセンスが凝縮されたレシピですので、ぜひご家庭で本格的な味わいをお楽しみください。
【田村隆さんのレシピ】さばのみそ煮の作り方
Course: 主菜Cuisine: 和食4
servings15
minutes25
minutes423
kcal40
minutes日本料理の第一人者である田村隆さんの「さばのみそ煮」のレシピをご紹介します。さばのみそ煮は、家庭料理の定番でありながら、魚の生臭さが残ってしまったり、身がパサパサになってしまったり、皮が破れて見た目が損なわれたりと、意外と難易度が高いと感じている方も多いのではないでしょうか。
材料
さば(切り身) 4切れ(1切れ160~180g)
ねぎ(白い部分) 2本分(150g)
しょうが 40g
みそ(淡色辛口) 50g
【A】
昆布の水だし カップ2+1/2(5cm長さの昆布を水カップ2に30分間浸したもの)
酒 カップ1/2
【B】
砂糖 大さじ3
しょうゆ 大さじ1
作り方
- ねぎは3cm長さに切る。しょうがは皮付きのまま2mm厚さに切る。
- さばは皮側に浅く切り目を入れる。
- ポイント
- せっかく上手に煮ても、皮が破れてしまっては台無し。熱で表面の皮が収縮し、破れてしまわないように、あらかじめ切り目を3~4本、入れておくとよい。切り目から味もしみこむので一石二鳥。
- 鍋に湯を沸かし、網じゃくしにさばをのせて約10秒間くぐらせる。身が白くなったら氷水にとり、血合いや汚れをていねいに取り除く。
- ポイント
- 煮魚でいちばん肝心なのが、魚のにおいを煮汁に出さず、うまみを身の内部に閉じ込めること。そのためには一匹づけの魚の場合は熱い煮汁に入れることだが、切り身の場合、煮汁に入れる前に熱湯で霜降りしてから、血合いなどをきれいに取り除くとよい。霜降りによって表面は固まっているので、煮汁は熱くても冷めていてもどちらでもよい。
- 鍋に【A】の材料としょうが、さばを入れる。中火にかけ、沸いてきたらアクを取り、落としぶたをしてしばらく煮る。
- ポイント
- 煮はじめてすぐに落としぶたをすると、アクが全体に回ってしまい、後味が悪い。必ずアクを取ってから落としぶたをすること。また、昆布の水だしを使うのは、うまみを加えるだけでなく、昆布のヨード分にアクを付着させ、すくいやすくする効果もある。
- 【B】の調味料を回しかけ、中火で15分間煮て火から下ろす。ここで一度冷ます。冷ます間に身の中まで味が入る。
- 再び火にかけ、ねぎを加えて少し煮たら煮汁をカップ1/2程度とり、みそを溶き混ぜる。これを鍋に戻し入れ、ひと煮立ちさせる。
- ポイント
- 煮汁に最初からみそを入れて煮続けたのでは、香りや風味が飛んでしまう。そこで、下味はしょうゆでつけておき、みそは仕上げに加える。煮汁の一部で溶きのばして加えると、全体にまんべんなく味が回る。
- みそが全体になじんだら、さらに3分間、落としぶたをして煮て、冷ます。
- 7 を温め、ねぎ、しょうがとともに器に盛り、煮汁を張る。
メモ
- 田村隆さんのレシピ (さばのみそ煮)
さばのみそ煮を美味しく作る3つの極意
皮の破れを防ぐための浅い切り目
煮魚を美しく仕上げる上で、皮の破れは大敵です。このレシピの最初のポイントは、さばの皮側に浅く3〜4本の切り目を入れておくことです。魚の皮は加熱されると急激に収縮する性質があり、これが原因で皮が破れて見た目が台無しになってしまいます。
あらかじめ切り目を入れておくことで、熱による収縮を逃がし、美しい姿を保つことができます。さらに、この切り目は味が中まで染み込みやすくするという重要な役割も果たしており、見た目の美しさと味わいの深さを両立させる、まさに一石二鳥の大切な工程となっています。
熱湯での「霜降り」で臭みを撃退
煮魚を美味しく作るために最も重要なのが、魚特有の生臭さを煮汁に移さず、旨味だけを身の中に閉じ込めることです。そのためには、煮汁に入れる前の「霜降り」が欠かせません。網じゃくしにのせたさばを沸騰したお湯に約10秒間くぐらせ、身の表面が白くなったらすぐに氷水にとります。
ここで血合いや汚れを指で丁寧に優しくこすり落とすことで、臭みの原因を完全に断ち切ります。表面が熱で固まることで旨味が逃げず、その後の煮汁が熱くても冷めていても美味しく仕上がる最適な状態を作り出すことができます。
風味を生かすための味噌の後入れ
さばのみそ煮において、味噌を入れるタイミングは仕上がりを大きく左右する決定的な要素です。最初から味噌を入れて煮続けてしまうと、せっかくの味噌の豊かな香りや風味が飛んでしまい、塩辛さだけが目立ってしまいます。このレシピでは、まず砂糖と醤油でしっかりと下味をつけ、一度冷まして味を染み込ませます。
そして、味噌は仕上げの段階で加えるのがポイントです。鍋の煮汁をカップ2分の1程度取り出して味噌を溶き混ぜてから鍋に戻すことで、ダマにならず全体に均一に味が回り、豊かな風味を保ったまま仕上げることができます。
最高のペアリング:料理を引き立てる飲み物
さばのみそ煮はしっかりとしたコクと甘辛い味わいが特徴の和食ですが、実はお酒とのペアリングも幅広く楽しむことができます。定番の日本酒を合わせるなら、お米の豊かな旨味を感じられるふくよかな純米酒がぴったりです。
ぬる燗にすることで、味噌のコクと日本酒のまろやかさが口の中で見事に調和し、さばの脂の甘みを引き立ててくれます。また、ワインを合わせるなら、軽めの赤ワインが意外な好相性を見せます。
例えば、フランスのピノ・ノワールやマスカット・ベーリーエーなどの果実味豊かで渋みが控えめな赤ワインは、醤油や味噌の風味と非常に相性が良く、魚の生臭さを強調することなく優しく寄り添ってくれます。
さらに、白ワインを選ぶなら、樽香のあるふくよかなシャルドネが、味噌のコクやさばの脂のボリューム感とバランスよくマッチします。ご家庭での夕食はもちろん、少し特別なおもてなしの席でも、お好みのお酒とともにこの極上のさばのみそ煮を楽しんでみてはいかがでしょうか。
保存テクニックと温め直し方
さばのみそ煮は、作ってすぐに食べるのももちろん美味しいですが、一度冷ますことで中まで味がしっかりと染み込むため、作り置きにも非常に適した料理です。保存する場合は、粗熱が完全に取れてから、煮汁ごと清潔な保存容器に移して冷蔵庫に入れてください。冷蔵保存での日持ちは、およそ2〜3日程度が目安です。
温め直す際は、電子レンジを使うと身が硬くなったり破裂したりする恐れがあるため、小鍋に移して弱火でコトコトと温めるか、湯煎で優しく温めるのがおすすめです。煮汁が煮詰まって味が濃くなりすぎないよう、温めすぎには注意しましょう。
このレシピのまとめと栄養のポイント
今回は、日本料理のプロである田村隆さんのレシピから、絶品の「さばのみそ煮」の作り方をご紹介しました。
一見難しそうな煮魚ですが、皮に切り目を入れること、丁寧な霜降りで血合いや汚れを取り除くこと、アクを取ってから落としぶたをすること、そして味噌の風味を飛ばさないために仕上げの段階で加えることなど、一つ一つの工程に込められた理屈を理解して実践することで、家庭でも驚くほど美味しく作ることができます。
特に、一度煮てから冷ますことで中までしっかりと味を含ませる手法は、時間を味方につける素晴らしいテクニックです。白いご飯のおかずとしてはもちろん、様々なお酒との相性も抜群の一品ですので、ぜひこのレシピで作ってみて、ご自身の得意料理の一つに加えてみてください。
ご家族もきっと喜ぶ、本格的な和食の味わいを毎日の食卓にお届けできるはずです。
