今回は、家庭料理の第一人者である土井善晴さんのレシピ、「かす汁」の作り方をご紹介いたします。寒い季節になるとどうしても恋しくなる、心も体も芯から温まる一品です。土井善晴さんのレシピの最大の魅力は、素材の持ち味を最大限に引き出し、無理のない自然な手順で作れる点にあります。
このかす汁も例外ではなく、塩ざけから滲み出る豊かな旨味と、酒かすの芳醇な香り、そしてたっぷりの根菜類から出る優しい甘みが絶妙なハーモニーを奏でます。
関西地方で古くから親しまれている甘口の西京みそと、キリッとした塩気のある信州みそを独自のバランスでブレンドすることで、奥深くまろやかな味わいに仕上がります。
酒かすはあらかじめ少量の煮干しだしでふやかしておく、こんにゃくはサッと湯通しするなど、一つ一つの丁寧な下ごしらえが、最終的な美味しさを決定づけます。具だくさんでこれ一杯で立派なおかずにもなる土井善晴さんのかす汁は、毎日の食卓を豊かにしてくれること間違いありません。
ぜひこのオリジナルレシピの手順に忠実に、本格的な冬の味覚をご家庭で再現してみてください。
【土井善晴さんのレシピ】かす汁の作り方
Course: 汁物Cuisine: 和食4
servings15
minutes20
minutes305
kcal35
minutes今回は、家庭料理の第一人者である土井善晴さんのレシピ、「かす汁」の作り方をご紹介いたします。寒い季節になるとどうしても恋しくなる、心も体も芯から温まる一品です。土井善晴さんのレシピの最大の魅力は、素材の持ち味を最大限に引き出し、無理のない自然な手順で作れる点にあります。
材料
塩ざけ(辛塩/切り身) 2切れ(160g)(焼くと白くなるほど塩けの強いものは、うすい塩水につけて塩抜きをするとよい。)
酒かす 150g
煮干しだし カップ6(下準備参照。)
大根 150g
にんじん 90g
里芋 3コ(230g)
油揚げ 1枚
こんにゃく 1/2枚
青ねぎ 2本
白みそ 100g(関西地方でよく使われる、「西京みそ」という甘口の白みそ。)
みそ 30g(ここでは信州みそを使用。)
作り方
- 酒かすはちぎってボウルに入れ、分量の煮干しだしからカップ1/2をとり分けて加える。ざっと混ぜてほぐし、5~10分間ほどおいて柔らかくする。
- 塩ざけは一口大に切る。大根、にんじんは、大きさをそろえて厚めの短冊形に切る。油揚げも同様に切る。里芋は皮をこそげて1cm厚さの輪切りにする。
- こんにゃくは短冊形に切り、熱湯で30秒間ほどゆでて湯をきる。
- 鍋に煮干しだし、さけ、里芋を入れて中火にかけ、煮立ったらアクを取り、残りの 2 と 3 の材料を加える。
- 再び煮立ってから5分間ほど煮、 1 の酒かすと2種類のみそを合わせて溶き入れる。
- ポイント
- 里芋が「堅ゆで」程度に煮えたくらいが、酒かすとみそを加えるタイミング。
- やや火を弱め、さらに10分間ほど煮て全体をなじませる。青ねぎを2cm長さに切って加え、サッと混ぜて火を止める。
メモ
- 土井善晴さんのレシピ (かす汁)
かす汁を美味しく作る3つの極意
酒かすはだし汁で事前にふやかして滑らかにする
このレシピにおいて非常に重要なのが、酒かすの下準備です。酒かす150gを細かくちぎってボウルに入れ、分量の煮干しだし(カップ6)の中からカップ1/2を先に取り分けて加えます。この状態で5〜10分間ほどおいて柔らかくしておくのが極意です。
固まりのまま直接鍋に投入してしまうと、酒かすが溶け残ってしまい、口当たりが悪くなるだけでなく、せっかくの芳醇な風味が汁全体に均一に行き渡りません。事前にだし汁を吸わせてペースト状に近づけておくことで、鍋に加えた際にサッと滑らかに溶け込みます。
このひと手間を惜しまないことで、かす汁特有のとろみと香りが格段に引き立ち、上品な仕上がりになります。
こんにゃくの湯通しで雑味を取り除く
こんにゃくは短冊形に切った後、熱湯で30秒間ほどゆでてしっかりとお湯をきる手順があります。これはこんにゃく特有の石灰臭さやエグみを取り除くための大切な工程です。かす汁は、酒かすと2種類のみそ(白みそと信州みそ)、そして煮干しだしや塩ざけの繊細な風味を掛け合わせて作る料理です。
こんにゃくの臭みが少しでも残っていると、せっかくの芳醇な香りの邪魔をしてしまい、全体の味のバランスが崩れてしまいます。たった30秒間のサッとゆでるだけの作業ですが、この丁寧な下処理を行うことで、汁の味わいが驚くほどクリアで洗練されたものになります。美味しいかす汁を作るために欠かせないポイントです。
里芋が「堅ゆで」のタイミングでみそを加える
調味料を加えるタイミングも、このかす汁の大きな鍵を握っています。鍋に煮干しだし、塩ざけ、里芋を入れて煮立ててアクを取り、残りの具材を加えてから約5分間煮込みます。ここでポイントとなるのが「里芋が堅ゆで程度に煮えたくらい」で、ふやかしておいた酒かすと2種類のみそを合わせて溶き入れることです。
里芋が完全に柔らかくなる前にみそを加えることで、その後の「やや火を弱めてさらに10分間ほど煮る」工程において、里芋の中までしっかりと旨味と塩気が浸透します。また、弱火でじっくり10分間煮込むことで、酒かすのアルコール分が程よく飛び、全体の味がまろやかになじみます。
具材の食感と味の染み込み具合を完璧に計算した絶妙なタイミングです。
最高のペアリング:料理を引き立てる飲み物
土井善晴さんのかす汁は、酒かすの濃厚なコクとみその甘みが特徴的で、これ一杯で立派なおかずになるほどの満足感があります。合わせるお酒としては、やはり日本酒が王道です。
純米酒や山廃仕込みなど、お米の旨味がしっかりと感じられるふくよかなタイプを選ぶと、かす汁の風味と同調して素晴らしいマリアージュを生み出します。また、意外な組み合わせとしておすすめなのが、少し酸味のある白ワインです。
フランスのロワール地方で造られるシュナン・ブランや、日本の甲州ワインなどは、塩ざけの塩気と里芋の甘みに対してスッキリとした輪郭を与えてくれます。
食事の献立としては、出汁巻き卵や、ほうれん草のお浸しなどのさっぱりとした副菜を添えると、かす汁の濃厚な味わいがいっそう引き立ち、栄養バランスの取れた献立になります。
保存テクニックと温め直し方
かす汁が残った場合は、粗熱をしっかりと取ってから清潔な保存容器に移し、冷蔵庫で保存してください。冷蔵保存での日持ちの目安は約2〜3日程度です。酒かすやみそが底に沈殿しやすいので、温め直す際は鍋に移し替え、弱火でゆっくりと底から混ぜながら加熱してください。
風味が飛びやすいので沸騰させすぎないことがポイントです。なお、こんにゃくや里芋は冷凍すると食感が著しく悪くなってしまうため、冷凍保存には不向きです。できるだけ冷蔵保存の期間内に美味しく食べ切ることをおすすめします。
このレシピのまとめと栄養のポイント
今回は、土井善晴さんの本格的な「かす汁」のレシピをご紹介しました。塩ざけの旨味をベースに、たっぷりの大根や人参などの根菜類を煮込み、酒かすと2種類のみそで仕上げるこの汁物は、日本の冬の食卓に欠かせない伝統的な味わいです。
具材ごとに適切な切り方をし、こんにゃくの下ゆでや酒かすを事前にふやかしておくといった基本に忠実な手順を踏むことで、誰でも失敗なく極上の味わいを引き出すことができます。里芋が堅ゆでの状態で調味料を加え、弱火でじっくりと味をなじませる工程が、深いコクとまろやかさを生み出す最大の秘訣です。
栄養満点で体の芯からぽかぽかと温まる土井善晴さん直伝のかす汁、ぜひこの冬の定番メニューとしてご家庭で何度でも作ってみてはいかがでしょうか。
