今回は、土井善晴さん直伝の「関東炊き(おでん)」のレシピをご紹介します。大根、じゃがいも、牛すじ、ちくわ、こんにゃく、厚揚げ、ごぼう天、卵、そして自家製の餅巾着など、たくさんの具材を風味豊かなだしでじっくりと煮込む、本格的で心温まる和食の定番です。
このレシピの魅力は、ただ具材を煮るだけではなく、それぞれの具材の下ごしらえを丁寧に行うところにあります。大根は米のとぎ汁で下ゆでし、じゃがいもは皮ごとゆでてから皮をむき、牛すじは熱湯でサッとゆでて丁寧に串に刺すなど、一つひとつの工程に美味しさの秘密が隠されています。
さばとかつおの削り節からとった澄んだ濃厚なだしに、薄口しょうゆと砂糖を加えた甘辛いおつゆが、具材の奥深くまで染み渡ります。一度火を止めて休ませることで、味がじんわりと染み込み、専門店にも負けない深みのある味わいに仕上がります。
寒い季節にご家庭でぜひ作っていただきたい、手間をかける価値のある絶品レシピです。
【土井善晴さんのレシピ】関東炊きの作り方
4
servings30
minutes40
minutes300
kcal1
hour10
minutes材料
作り方
関東炊きを美味しく作る3つの極意
大根の厚めの皮むきと米のとぎ汁での下ゆで
このレシピのポイントは、大根の皮を厚めにむき、米のとぎ汁で下ゆですることです。皮を厚くむくことで、大根が柔らかく煮え上がった際に口当たりの悪い筋が残るのを防ぐことができます。
また、米のとぎ汁を使って約15分間ゆで、竹串がスッと通るまで火を通すことで、大根特有のえぐみや苦味が抜け、甘みとだしの旨味を吸収しやすい状態になります。余った厚めの皮はしょうゆ漬けにして無駄なく活用できるのも嬉しい工夫です。
下ゆで後に水にとって洗うことで、アクやとぎ汁のぬめりを落とし、だしを濁らせることなく美しく仕上げることができます。
具材を半量ずつ重ね、餅巾着は後から加える
大きな鍋に具材を入れる際のポイントは、1番から6番までの具材(大根、じゃがいも、牛すじ、ちくわ、こんにゃく、厚揚げ、ごぼう天、卵など)を半量ずつ重ねて入れ、そのあとに残りの半量を同様に入れることです。このように分けて入れることで、鍋の中で具材が均等に配置され、どの具材も取り出しやすくなります。
また、油揚げと餅で作る手作りの餅巾着は最初から煮込まず、一度だしで煮て数時間休ませた後、食べる前に火を入れるタイミングで加えます。これにより、餅がドロドロに溶け出してしまうのを防ぎ、適度な柔らかさでもっちりとした食感を美味しくいただけます。
一度冷まして味を含ませる二段階の煮込み
この関東炊きにおいて最も重要なのが、煮込み時間の工夫です。だしをたっぷり注いだら、まずは弱火で1時間ほど煮込みます。これを「仕込み」とし、ここで一度火を止めて数時間おくことが極上の味を生み出すポイントです。具材は加熱されている時ではなく、温度が下がって冷めていく過程で味が中まで深く浸透していきます。
連続して2時間煮続けるよりも、一度休ませてから食べる前にもう一度弱火で1時間煮て仕上げることで、味が芯までしみた格別な美味しさになります。穏やかな火加減でじっくり煮ることで、具材の形も崩れず美しく仕上がります。
最高のペアリング:料理を引き立てる飲み物
土井善晴さんの関東炊きには、だしの旨味と具材の自然な甘みを引き立てる飲み物がよく合います。特におすすめなのが、香りが控えめで米の旨味を感じられる日本酒ですが、ワインを合わせるなら軽やかな味わいのオレンジワインや、果実味が豊かで渋みの少ない赤ワインが絶妙なペアリングを生み出します。
例えば、フランスのアルザス地方で作られるピノ・グリを使用したオレンジワインは、かつおやさばの削り節からとった和風だしと同調し、おでんの繊細な風味を消すことなく旨味を底上げしてくれます。また、ボージョレ地区のガメイ種を用いた赤ワインもおすすめです。
牛すじや厚揚げといったコクのある具材に対して、ガメイの持つフレッシュな酸味と柔らかなタンニンが優しく寄り添い、練りがらしや七味とうがらしのピリッとしたアクセントとも見事に調和します。休日の夜に、じっくりと味が染み込んだ熱々の関東炊きと一緒に、お気に入りのワイングラスを傾けてみてはいかがでしょうか。
保存テクニックと温め直し方
関東炊きは大量に作って余ることが多い料理ですが、適切な保存をすることで翌日以降も美味しく楽しめます。粗熱が完全に取れてから、清潔な保存容器に移し替えて冷蔵庫で保存してください。その際、具材がだし汁にしっかり浸かっている状態を保つことで、味が均一に馴染み、乾燥を防ぐことができます。
保存の目安は冷蔵で約2〜3日です。温め直す際は、電子レンジではなく鍋に移して弱火でじっくりと火を通すと、風味が損なわれません。なお、じゃがいもやこんにゃくは冷凍すると食感が悪くなってしまうため、冷凍保存は避け、冷蔵庫で保管して早めに食べ切ることをおすすめします。
このレシピのまとめと栄養のポイント
今回ご紹介した土井善晴さん直伝の「関東炊き」は、時間をかけて丁寧に下ごしらえをし、だしをしっかり含ませることで完成する、至高の煮込み料理です。
大根、じゃがいも、牛すじ、ちくわ、こんにゃく、厚揚げ、ごぼう天、卵といった多彩な具材が、さばとかつおの削り節を贅沢に使った濃厚なだしと一体になり、心も体も温まる一品となります。
手作りの餅巾着を加える楽しさや、一度火を止めて冷まし、味をじっくりと染み込ませるというプロセスは、家庭料理ならではの醍醐味です。練りがらしや七味とうがらしを添えて味に変化をつければ、最後まで飽きることなく楽しめます。
週末など時間のあるときにたっぷりと仕込んで、家族や友人と鍋を囲みながら、具材ごとに異なる食感と奥深いだしの旨味を存分に味わってみてください。
