今回は、家庭料理の第一人者として広く知られる土井善晴さんのオリジナルレシピ、「キャビネットケーキ」の作り方をご紹介します。土井善晴さんのレシピは、スーパーなどで手に入りやすい身近な材料を使いながらも、素材が持つ本来の持ち味を最大限に引き出す工夫が随所に散りばめられているのが特徴です。
このキャビネットケーキは、食パンや卵、牛乳、そしてみかんの缶詰といった、多くのご家庭のキッチンに常備されていることが多いシンプルな食材を使って、素朴でありながらも心温まる本格的なデザートを作り上げる素晴らしい一品となっています。
オーブンを使う手間がなく、フライパンを使った蒸し焼きというご家庭でも実践しやすい手軽な調理法でありながら、ふっくらとしたなめらかな仕上がりを実現しています。
そこに、みかんの缶汁を余すことなく使った甘酸っぱい特製の温かいソースが絶妙に絡み合い、一口食べればどこか懐かしくも新しい豊かな味わいが口いっぱいに広がります。
食パンをあらかじめトーストしておくことで香ばしさをプラスし、余分な水分を抜いて卵液をたっぷりと吸わせるという論理的かつ丁寧な工程は、まさに料理の基本を大切にされる土井善晴さんならではの計算されたレシピと言えるでしょう。
日々の気軽なおやつとしてはもちろんのこと、夕食後のデザートとしてご提供すれば、ご家族皆さんが自然と笑顔になれるような、そんな優しい甘さが魅力のケーキです。専用の製菓道具や蒸し器がなくても、お手持ちのプリン型やココット、あるいは耐熱のコーヒーカップなどで手軽に作れるのも大きなメリットです。
ぜひ、この丁寧で温かみのあるレシピをご家庭で実践し、美味しい至福のひとときをお過ごしください。
【土井善晴さんのレシピ】キャビネットケーキの作り方
Course: デザートCuisine: 洋食4
servings15
minutes20
minutes320
kcal35
minutes今回は、家庭料理の第一人者として広く知られる土井善晴さんのオリジナルレシピ、「キャビネットケーキ」の作り方をご紹介します。土井善晴さんのレシピは、スーパーなどで手に入りやすい身近な材料を使いながらも、素材が持つ本来の持ち味を最大限に引き出す工夫が随所に散りばめられているのが特徴です。
材料
食パン(8枚切り) 2枚
みかん(缶詰/シロップ煮) 1缶(内容量300g/固形量170g。)
レーズン 大さじ2
サラダ油 少々
【卵液】
卵 3コ
牛乳 カップ1+1/2
砂糖 50g
バニラエッセンス 少々
【ソース】
みかんの缶汁 (約カップ3/5)(水と合わせてカップ1にする。)
砂糖 大さじ1
【A】
かたくり粉 大さじ1
水 大さじ1
作り方
- 【卵液】をつくる。ボウルに卵を割り入れて泡立て器で溶きほぐし、そのほかの材料を混ぜ合わせる。
- 食パンをこんがりと焼き、みみを切り落として、1枚を9等分に切る。みかんは缶汁をきり、残った缶汁はとっておく。
- ポイント
- 食パンはトーストすると水分が抜けて香ばしくなる。
- サラダ油少々に紙タオルを浸し、カップの内側にサラダ油を薄く塗る。
- ポイント
- 容器はプリン型やココット、コーヒーカップなどでもよい。
- 3 にみかん、レーズン、パンを等分に入れ、 1 の【卵液】を均等に注ぐ。
- フライパン(直径28cm)に絞った布巾を敷いて 4 を並べ入れ、熱湯カップ3を注ぐ。ふたをして湯が静かに煮立つくらいの火加減で、約15分間蒸す。
- 【ソース】をつくる。小鍋にみかんの缶汁と水を合わせたもの、砂糖、混ぜ合わせた【A】を入れて弱火にかけ、透き通ってとろみが出るまで煮る。
- 5 のケーキの全体がふっくらふくらみ、串を刺して【卵液】がついてこなければ蒸し上がり。取り出して粗熱を取ってから、カップの内側に串を差し入れてぐるりと一周させて外し、逆さにして器にあけ、 6 の温かい【ソース】をかける。
メモ
- 土井善晴さんのレシピ (キャビネットケーキ)
キャビネットケーキを美味しく作る3つの極意
食パンはトーストして水分を抜く
このレシピにおける最大のポイントの一つが、食パンをそのまま使うのではなく、あらかじめ「こんがりと焼いておく」という工程です。トーストすることでパンの余分な水分がしっかりと抜け、スポンジのような役割を果たしやすくなります。
これにより、卵、牛乳、砂糖などを混ぜ合わせた風味豊かな卵液をパンがたっぷりと内部まで吸収し、蒸し上げた際にとろけるような非常に滑らかな食感を生み出します。
さらに、こんがりと焼けたパンの香ばしい風味がケーキ全体に深みを与え、単なる余り物のパンを使ったお菓子とは思えないような、奥行きのある本格的なデザートへと昇華させます。みみを切り落として中身の柔らかい部分だけを使うことで、口当たりの良さも格段にアップし、極上の仕上がりになります。
フライパンと布巾を使った優しい蒸し加減
専用の大きな蒸し器がご家庭になくても、直径28cm程度のフライパンを使って手軽に、かつ完璧に蒸し上げる工夫が施されています。フライパンの底にしっかりと絞った布巾を敷くことで、直接的な強い熱が容器に伝わるのを防ぎ、下からの熱の当たり方を非常に柔らかく調整することができます。
そして、熱湯を注いでふたをし、「湯が静かに煮立つくらいの火加減」を保ちながら約15分間蒸すことが重要です。強すぎる火加減で急激に加熱してしまうと、卵液にす入り(小さな気泡の穴が空いてしまう状態)が生じてしまい、滑らかな口当たりが損なわれてしまいます。
穏やかな温度でじっくりと火を通すことで、全体がふっくらと膨らみ、極上の滑らかさを持つ極上のケーキに仕上がります。
缶汁を無駄なく活用したとろみソース
みかんの缶詰は、果肉部分をケーキの中に入れるだけでなく、残った甘い缶汁(シロップ)も余すところなくソースとして活用します。缶汁に水を合わせて分量を調整し、砂糖を加えて甘みを整えた後、水溶き片栗粉(片栗粉と水)でとろみをつけるのがソース作りのポイントです。
小鍋を弱火にかけながら、ソースが透き通ってしっかりととろみが出るまで丁寧に煮ることで、粉っぽさが完全に消えて艶やかな美しいソースが完成します。この温かいソースを、蒸し立てで粗熱を取って型から外したケーキにかけることで、ケーキの優しい甘さとみかんの爽やかな酸味が見事に調和します。
とろみがあることでソースがケーキの表面にしっかりと絡みつき、最後の一口まで濃厚な果実感を楽しむことができます。
最高のペアリング:料理を引き立てる飲み物
土井善晴さんのキャビネットケーキは、卵と牛乳の優しいコクに、みかんの爽やかな酸味がアクセントとなった、どこか懐かしさを感じる素朴なデザートです。このケーキに合わせる飲み物としては、まずは定番の紅茶がおすすめです。
特に、ダージリンやアールグレイなどの香り高い紅茶をストレートで合わせると、ケーキの甘みを引き立てつつ、口の中をさっぱりとリセットしてくれます。また、浅煎りから中煎りのフルーティーなコーヒーも素晴らしい相性を見せます。
エチオピア産のコーヒー豆が持つ柑橘系の酸味と香りは、みかんのソースと見事にリンクし、デザートタイムをより一層華やかなものにしてくれるでしょう。ワインを合わせる場合は、やや甘口の白ワインがぴったりです。
例えば、ドイツのリースリングや、モスカート・ダスティなどの微発泡でフルーティーなワインは、みかんの風味と同調し、卵の優しい風味を優しく包み込みます。冷たく冷やした甘口ワインと温かいソースがかかったケーキの温度差も、心地よいアクセントになります。
保存テクニックと温め直し方
手作りのキャビネットケーキは、保存料等を使用していないため、作ったらその日のうちにおいしく食べ切るのが理想的です。どうしても保存が必要な場合は、粗熱がしっかりと取れたことを確認してから、容器ごと、あるいは器に盛り付けた状態でラップを隙間なくかけ、乾燥を防ぐようにして冷蔵庫で保存してください。
冷蔵保存の目安は翌日までとなります。冷蔵庫に入れるとパンが卵液を吸った部分が少し硬くなることがあるため、お召し上がりの際は、電子レンジ(500Wから600W)で数十秒ほど軽く温め直すと、ふっくらとした食感と風味が蘇ります。
みかんのソースも別添えにして冷蔵しておき、食べる直前に温めてかけると、作りたてに近い美味しさを楽しむことができます。
このレシピのまとめと栄養のポイント
土井善晴さんの「キャビネットケーキ」は、食パンや卵、牛乳、みかんの缶詰といった、どこの家庭にもあるような身近な材料を、プロの技と工夫で極上のデザートに変身させる素晴らしいレシピです。
食パンをトーストして水分を抜き、風味豊かな卵液をたっぷりと吸わせる工程や、フライパンと布巾を使って優しく火を入れる蒸し加減、そしてみかんの缶汁を無駄なく使ったとろみのある温かいソースなど、一つ一つの手順に美味しさを引き出すための明確な理由があります。
オーブンを使わずフライパン一つで蒸し上げる手軽さも魅力で、プリン型やお手持ちのコーヒーカップなどで可愛らしく作ることができます。お子様のおやつから、家族団らんの食後のデザート、ちょっとしたおもてなしの席まで、幅広いシーンで喜ばれる一品です。
どこか懐かしく、そして心温まる優しい味わいのキャビネットケーキを、ぜひご家庭の定番デザートとして取り入れてみてはいかがでしょうか。
