日本の伝統的な保存食であり、食卓に欠かせない梅干し。今回は、料理研究家である有元葉子さんのレシピ「昔ながらの梅干し」をご紹介します。有元葉子さん直伝のこのレシピは、完熟梅と塩、そして赤じそだけで丁寧に漬け込む本格的な作り方です。
余計なものを一切加えないからこそ、梅本来の爽やかな酸味と、赤じその芳醇な香りが引き立つ極上の梅干しに仕上がります。梅を洗い、塩をまぶし、天日で干すという一つひとつの工程には、おいしく仕上げるための大切なポイントが詰まっています。
手塩にかけて作った梅干しは、日々の食卓を豊かにしてくれるだけでなく、自家製ならではの愛着と深い味わいを楽しめるのが魅力です。少し時間はかかりますが、出来上がったときの喜びはひとしおです。日本の丁寧な暮らしを感じられる、有元葉子さんの昔ながらの梅干し作りにぜひ挑戦してみてください。
【有元葉子さんのレシピ】昔ながらの梅干しの作り方
Course: その他Cuisine: 和食20
servings2
hours20
minutes40
kcal140
minutes日本の伝統的な保存食であり、食卓に欠かせない梅干し。今回は、料理研究家である有元葉子さんのレシピ「昔ながらの梅干し」をご紹介します。有元葉子さん直伝のこのレシピは、完熟梅と塩、そして赤じそだけで丁寧に漬け込む本格的な作り方です。
材料
完熟梅 2kg
焼酎(アルコール分35度以上) 適量(消毒用。)
粗塩 360g(梅の重さの18%)(下漬け用/国産のしっとりした粗塩がよい。)
赤じそ (正味)500~750g
粗塩 適量(赤じそ用。)
作り方
- 梅はよく洗い、清潔なさらしなどで表面の水けを拭く。ざるに並べて少しおき、表面を乾かす。
- ポイント
- 水分が残っていると、かびなどの原因になる。
- 竹串でなり口のヘタを取り除く。
- ボウルに焼酎を少量注いで梅を入れ、転がす。再びざるに並べ、表面を乾かす(すぐに乾く)。
- ポイント
- きれいな梅ならそのままでも問題ないが、傷がある梅は焼酎をまぶしておくと安心。
- 保存容器の底に粗塩適量をふり入れ、梅を重ならないように並べる。上からも粗塩適量を均等にふる。
- ポイント
- なり口のくぼみを上にし、そこに塩をキュッと押し込むようにすると、梅から多少水分が出やすくなる。
- 4 の上にさらに梅を平らに並べ、粗塩適量を均等にふる。これを繰り返し、最後に残りの粗塩をふる。いちばん上の梅はびっしり並ばなくてもよいが、なるべく中心に均等に並べる。
- ポイント
- 塩の分量はそれぞれ適量でよいが、最後にすべて使いきるようにする。
- 上から清潔なさらしをかぶせ、中ぶたをのせておもしをする。ふたをして冷暗所に置き、梅酢が上がってくるのを待つ。梅酢が上がりはじめたら、徐々におもしを軽くしていってよい。中ぶたとさらしは最後までしておく。
- ポイント
- 梅酢が上がってくるまでは、毎日1~2回保存容器を傾けて様子を見る。
- 梅酢が十分に上がったら、玉じゃくしで清潔な保存瓶などに取り分ける(ふたは金属製でないものを使う)。ただし、梅が浸るくらいの量は残し、梅酢のしみたさらしを再びかぶせておく。
- ポイント
- ※梅酢は必ずしも取り分ける必要はないが、翌年に梅を漬ける際、梅酢の上がりが足りない場合は前年の梅酢があれば少量加えると上がりやすくなるので、とっておくと安心。
- 赤じそは茎から葉を摘む。軸は堅いものは取り除くが、すべてを丁寧に取らなくてもよい。
- ボウルに赤じその半量を入れ、粗塩1つかみをふってもみ込む。
- 水けが出やすいように、少しだけ水をふりかけて湿らせる。
- ポイント
- 呼び水的に赤じそを湿らせると、塩が回りやすくなる。
- 黒っぽいアクが出たらしっかりと絞り、出てきた汁を捨てる。
- サッとゆすいで水けをきり、もう一度粗塩1つかみをもみ込んで絞り、汁を捨てる。
- にごりのない澄んだ紫色の汁が出てくるまで、これをあと2回くらい繰り返す(計3~4回。回数は赤じその状態による)。最後にしっかり汁けを絞る。残りの赤じそも同様にする。
- 赤じそを少しずつほぐしながら、数回に分けて梅の表面を覆うように入れる。そのつど、容器を傾けて赤じそを梅酢に浸らせる。
- 赤じそをすべてのせたら、密着させるように手で押さえる。容器を傾けたり揺すったりして、赤くなった梅酢を底まで行き渡らせる。
- 下漬けで使った梅酢がしみたさらしを洗わずにかぶせる。空気が入らないよう手でしっかり押さえ、中ぶたをして皿など(約1kgが目安)で軽くおもしをする。
- 干すまで常温においてよいが、最近は暑さが厳しいので家の中の涼しいところ(または冷蔵庫)におく。
- 本漬けした梅と赤じそを、ボウルに重ねたざる(竹やプラスチック製など、金属製でないもの)に上げ、汁け(赤梅酢)をきる。赤じそは、本漬けで使ったさらしで包んでおく。
- ポイント
- 汁けをきっておくと、干すときにざるから汁がポタポタとたれてこない。
- ボウルにたまった赤梅酢は漬けた容器に戻す。
- ざるに梅を並べ、よく晴れた日の昼間に屋外で干す。
- 夕方前のまだ日があるうちに、赤梅酢が入った容器に梅を戻す。
- ポイント
- 梅が熱いうちに梅酢に戻すことが大事。
- さらしで包んだ赤じそを梅の上にのせる。梅全体が赤梅酢に浸らないようなら、軽いおもしをのせる。
- 翌日、さらしごと赤じそを外し、前日と同じように昼間に梅を干し、夕方になる前に容器に戻す。
- 3日目の最終日には、梅とは別のざるに汁けをきった赤じそを広げて、昼間の間干す(赤じそは1日干せばよい)。夕方前、梅が熱いうちに保存容器に入れ、干した赤じそを梅の表面に広げ、全体を覆うようにのせる。ふたをして冷暗所で保存する。
- ポイント
- 保存容器も日に当てて日光消毒を。 1年間くらいおくと、塩がなれてきておいしくなる。 残った赤梅酢の保存・活用は全体備考参照。
メモ
- 有元葉子さんのレシピ (昔ながらの梅干し)
昔ながらの梅干しを美味しく作る3つの極意
梅の水分を完全に乾かし焼酎でかびを防ぐ
このレシピにおいて最も注意すべき点の一つが、梅の表面に残る水分を完全にゼロにすることです。梅をよく洗った後は、清潔なさらしなどで表面の水けを丁寧に拭き取り、さらにざるに並べてしっかりと乾燥させます。水分が少しでも残っていると、漬けている最中にかびが発生する原因になってしまうためです。
さらに、ボウルに少量の焼酎(アルコール分35度以上)を注いで梅を転がし、再び乾燥させることで、徹底した殺菌と消毒を行います。傷がある梅でも、この焼酎をまぶす工程を挟むことで安心して漬け込むことができるようになり、失敗のリスクを大幅に減らすことができます。
赤じそのアクを計3〜4回徹底的に絞り出す
赤じそを梅に合わせる際、丁寧なアク抜きを行うことで、濁りのない美しい発色とすっきりとした味わいが生まれます。ボウルに摘んだ赤じそを入れて粗塩をもみ込みますが、このときに呼び水として少しだけ水をふりかけて湿らせるのがポイントです。これにより塩が全体に回りやすくなり、黒っぽいアクがスムーズに出てきます。
このアク汁をしっかりと絞って捨て、再び塩をもみ込んで絞るという工程を、濁りのない澄んだ紫色の汁が出てくるまで計3〜4回繰り返します。この徹底したアク抜きを妥協せずに行うことで、梅干しが美しく鮮やかな赤色に染まり、雑味のない上品な風味に仕上がります。
天日干しの際は夕方前に熱い状態で梅酢に戻す
3日間にわたる天日干しの工程では、梅を干すタイミングと取り込むタイミングが仕上がりを大きく左右します。よく晴れた日の昼間に屋外でしっかりと梅を干したあと、まだ日がある夕方前の時間帯に、梅が天日の熱を保持して温かい状態のまま赤梅酢の入った容器に戻すことが極めて重要です。
梅が熱いうちに梅酢に戻すことで、梅の繊維がしっかりと梅酢を吸い込み、ふっくらと柔らかく味わい深い質感に仕上がります。最終日である3日目には、汁けをきった赤じそも一緒にざるに広げて1日干し、夕方前に梅と一緒に保存容器に重ねて冷暗所で保存します。この一連の干し作業によって、極上の食感が生まれます。
最高のペアリング:料理を引き立てる飲み物
昔ながらの塩分がしっかり効いた酸っぱい梅干しには、すっきりとした酸味と豊かなお米の旨味を持つ日本酒の冷酒や、キリッと冷やした辛口の白ワインがよく合います。ワインを合わせる場合は、梅のシャープな酸味と同調するような、フランスのシャブリやソーヴィニヨン・ブランから作られた軽快な白ワインがおすすめです。
また、梅干しをお茶請けとして楽しむ際には、丁寧に淹れた温かい緑茶やほうじ茶が最適です。お茶の持つほのかな渋みと芳ばしさが、梅干しの塩気とまろやかな酸味を優しく包み込み、口の中をさっぱりと整えてくれます。
毎日の食事のお供としてはもちろん、お酒や温かいお茶とともに、日本の伝統的な味わいをじっくりと堪能してください。
保存テクニックと温め直し方
天日干しが完了した梅干しは、干した赤じそを表面に広げて全体を覆うようにのせ、ふたをして冷暗所で保存してください。このとき、使用する保存容器もあらかじめ日に当てて日光消毒を行っておくことで、長期保存の際の手助けとなります。
完成したばかりの梅干しも美味しいですが、冷暗所で1年間ほどじっくりとおいて寝かせることで、角が取れて塩がなれていき、驚くほどまろやかで奥深い味わいへと変化します。自家製だからこそ、時間の経過とともに変化していく熟成の味わいを長く楽しむことができます。
このレシピのまとめと栄養のポイント
有元葉子さん直伝の「昔ながらの梅干し」は、完熟梅、粗塩、赤じそというシンプルな材料だけで作る、まさに王道の伝統レシピです。
梅の水分を完全に乾かして焼酎で消毒する下準備から始まり、塩を均等にふって梅酢を上げ、赤じそのアクを何度も丁寧に絞り出して鮮やかな色を引き出すなど、すべての工程に職人のようなこだわりが詰まっています。
そして、3日間にわたる天日干しでは、梅が温かいうちに梅酢に戻すことで、極上の柔らかさと風味を引き出します。手間と時間をかけるからこそ、1年後に塩がなじんだときの美味しさは格別です。この夏はぜひ、有元葉子さんの丁寧なレシピに沿って、一生物の梅干し作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
