今回は、日本を代表する料理研究家である土井善晴さんのレシピ「おいなりさん」の作り方をご紹介します。ふっくらと炊き上げた甘辛い油揚げの中に、柚子の爽やかな香りが広がるすし飯をたっぷりと詰め込んだ、どこか懐かしくも上品な味わいが魅力の一品です。
このレシピでは、お米の吸水から炊き加減、そしてすし飯を冷ます際の木製の盤台(飯台)の使い方など、土井善晴さんならではの丁寧な仕事が随所に光っています。
特に、柚子の皮の黄色い部分だけをすりおろして混ぜ込み、さらに搾り汁で味を調える工程は、おいなりさんの甘さに爽やかなアクセントを与え、最後まで食べ飽きない美味しさを生み出します。また、油揚げを裏返して包むことで、味の含みがよくなり、口当たりも一層よくなります。
お弁当や行楽のお供にはもちろん、人が集まるちょっとしたハレの日の食卓にもぴったりです。一つ一つの工程を丁寧に追うことで、ご家庭でも本格的で心温まるおいなりさんが完成します。ぜひ、この土井善晴さん直伝のレシピで、手作りの素晴らしさを味わってみてください。
【土井善晴さんのレシピ】おいなりさんの作り方
Course: 主食Cuisine: 和食4
servings1
hour45
minutes500
kcal105
minutes今回は、日本を代表する料理研究家である土井善晴さんのレシピ「おいなりさん」の作り方をご紹介します。ふっくらと炊き上げた甘辛い油揚げの中に、柚子の爽やかな香りが広がるすし飯をたっぷりと詰め込んだ、どこか懐かしくも上品な味わいが魅力の一品です。
材料
油揚げの炊いたん 12枚
油揚げの煮汁 適量(すし飯をにぎったり 油揚げに詰めるときの 「手水」に使う。)
米 400ml(カップ2)
白ごま 大さじ1
柚子(ゆず)の皮 1コ分
柚子の搾り汁 適量
紅しょうが 適宜
【合わせ酢】
米酢 カップ1/3
砂糖 大さじ3
塩 大さじ2/3
作り方
- 米は洗ってざるに上げ、30~40分間おく(洗い米)。計量カップで量って炊飯器に入れ、それより1割引きの水を加えて堅めに炊く。
- ポイント
- 例えば洗い米が440mlなら、395~400mlの水を加えます。
- 【合わせ酢】の材料を鍋に合わせて弱火にかけ、混ぜながら砂糖を溶かし、火から下ろす。
- 固く絞った布巾で盤台の内側を拭き、炊きたてのご飯を移す。熱いうちに【合わせ酢】を回しかけ、うちわであおいで冷ましながら、しゃもじで切るようにサックリと混ぜる。
- ポイント
- ご飯がベチャッとしないよう、余分な水けを吸ってくれる木製の盤台に移して混ぜるのがおすすめです。
- 【合わせ酢】がなじんで粗熱が取れたら、一か所にまとめ、固く絞ったさらしの布巾をかぶせておく。
- 冷めたら白ごまをふり、柚子の皮の黄色い表面だけをすりおろして割り箸で散らし、サックリと混ぜる。味をみながら柚子の搾り汁を加える。
- 片手に固く絞ったさらしの布巾をかぶせ、反対側の手に 油揚げの煮汁 (手水)をつけて、 5 を軽くにぎって丸める。これを24コつくる。
- 油揚げの炊いたん は、落としぶたの上に数枚ずつ重ねてしゃもじではさんで煮汁をきる(煮汁は 6 の手水に加える)。
- 対角線で半分に切り、数枚ずつ両手でギュッとはさんで、もう一度汁けをきる。
- ポイント
- 煮汁がきれていないとベチャッとしますが、絞りすぎてもおいしくありません。何度もつくるうちにこの加減が分かります。
- 破らないようにして袋状に開き、クルリと裏返しておく。
- 6 を油揚げに入れ、指でギュッと押して隅まで詰めて口を閉じる。油揚げの表裏を逆にして詰めてもよい。器に盛り、好みで紅しょうがを添える。
メモ
- 土井善晴さんのレシピ (おいなりさん)
おいなりさんを美味しく作る3つの極意
緻密な水分計算と木製の盤台によるすし飯作り
すし飯を美味しく仕上げるための最大のポイントは、ご飯の水分コントロールにあります。このレシピでは、洗って30〜40分おいた「洗い米」の分量に対して、1割引きの水を加えて堅めに炊き上げます。これにより、後から加える合わせ酢をしっかりと吸い込む余白が生まれます。
さらに、炊き上がったご飯は必ず木製の盤台(飯台)に移すことが重要です。木が余分な水けを適度に吸い取ってくれるため、ご飯がベチャッとせず、粒が立った艶やかなすし飯に仕上がります。熱いうちに合わせ酢を回しかけ、うちわで手早く冷ますことで、お米に美しい照りが生まれるのです。
柚子の皮と果汁がもたらす爽やかな香りの演出
おいなりさんの甘辛い味わいを引き締めるのが、柚子の豊かな香りです。すし飯が冷めたタイミングで、柚子の皮の黄色い表面だけをすりおろして加えます。白い部分は苦味があるため、必ず表面のみを優しくすりおろすのがコツです。
割り箸を使ってサックリと混ぜ合わせることで、ご飯の粒を潰さずに香りを全体に纏わせることができます。さらに、味をみながら柚子の搾り汁を加えることで、合わせ酢の酸味とは異なるフレッシュでフルーティーな酸味が加わり、油揚げのコクに対して絶妙なバランスをもたらします。
このひと手間が、全体を上品な味わいへと昇華させます。
油揚げの煮汁の絞り加減と手水としての活用
油揚げの炊いたんを扱う際、煮汁の絞り加減が仕上がりを大きく左右します。しゃもじで挟んだり、両手で優しくギュッと挟んで汁けを切りますが、絞りすぎるとパサついて風味が落ち、逆に汁けが多すぎるとすし飯がベチャッとしてしまいます。この絶妙な加減は、何度か作るうちに感覚として掴めるようになります。
そして、ここで絞った煮汁を決して捨てず、すし飯を丸める際の「手水」として活用するのがこのレシピの素晴らしい工夫です。手に煮汁をつけてすし飯を軽く握ることで、ご飯の表面にも油揚げの旨味がコーティングされ、一体感が格段に増します。
最高のペアリング:料理を引き立てる飲み物
おいなりさんの持つ油揚げの甘辛いコクと、柚子の爽やかな酸味に合わせるなら、ワインや日本酒が素晴らしい相性を見せます。ワインであれば、果実味が豊かでほんのりと甘みを感じるやや辛口の白ワイン、例えばドイツの「リースリング」や、軽やかな酸味が特徴のイタリアの「ピノ・グリージョ」がおすすめです。
ワインの持つフルーティーなアロマが柚子の香りと同調し、すっきりとした酸味が油揚げのコクを優しく包み込んでくれます。
また、日本酒を合わせる場合は、米の旨味がしっかりと感じられる純米酒や、すっきりとした口当たりの吟醸酒を冷やしていただくと、すし飯のお米本来の甘みと見事に調和し、至福のペアリングを楽しむことができます。
保存テクニックと温め直し方
作ったおいなりさんは、乾燥を防ぐために密閉容器に入れるか、一つずつラップで丁寧に包み、涼しい冷暗所または冷蔵庫の野菜室で保存してください。冷蔵庫に入れるとご飯が固くなりやすいため、食べる少し前に常温に戻すか、電子レンジで数十秒だけごく軽く温めると美味しくいただけます。
ただし、温めすぎると柚子の繊細な香りが飛んでしまうので注意が必要です。保存料を使用していない手作りのため、翌日中には食べ切るようにしてください。
このレシピのまとめと栄養のポイント
土井善晴さんの「おいなりさん」は、家庭料理の温かさと、職人のような細やかな気配りが同居する素晴らしいレシピです。お米の吸水から炊飯時の絶妙な水加減、木製の盤台を使ったすし飯の仕上げ、そして柚子の香りを最大限に活かす工夫など、一つ一つの工程に美味しさのための明確な理由があります。
特に、油揚げの煮汁を手水として使いながらすし飯を丸め、裏返した油揚げに詰めるという手順は、素材の旨味を余すところなく味わい尽くすための素晴らしい知恵です。
見た目にも愛らしく、一口食べれば油揚げのジュワッとした旨味と柚子の爽やかな香りが口いっぱいに広がるこのおいなりさんは、日常の食卓を豊かに彩ってくれること間違いありません。ぜひ、このレシピを通して、手仕事がもたらす極上の味わいをご家庭でお楽しみください。
